第1章 変わらない毎日
『おつかれさまです。』
6時に瀬崎さんと交代。
50代のチリチリパーマをかけたおばさんだ。
確か27歳の息子がいるんだっけ?
「あぁら!もう、莉子 ちゃん!
大丈夫ー?体こわしちゃ嫌よー?」
相変わらずあたしの肩をバシバシと
叩く瀬崎さんはやっぱりおばさん。
「莉子 ちゃんは
好きな芸能人とかいないの?」
そんなちょっとした質問に
ふと気がついた。
いないな。
『えっと…あ、瀬崎さんは?』
そう言うと瀬崎さんは待ってましたと
言わんばかりにあたしのところに何かの
雑誌を持ってきた。
【Myojo】
これって…あれ?
あの、ジャニーズの雑誌だっけ?
いたなぁ、友達で買う子
「あたしは嵐!」
その時、確実に見えた
瀬崎さんからのピンクのオーラ
『あ、あぁ…なるほど!
誰が好きなんですか?』
「じぇ…Jよ!!」
じゃ…J?
What?
「もー!分からない?
花男の道明寺!」
『あ!俺様の!』
「そうそう。
あんた遅れてるわよ、時代ー!」
そう言いながらまた
あたしの肩をバシバシ叩く瀬崎さん
「あ、これで勉強しなさい?
貸してあげるから!
あ、Jはあげないわよー?」
瀬崎さんがあたしに渡したのは
【Popcorn】と書かれたDVDだった。
『勉強…ねぇ…』