第21章 涙の行方
あたしは点滴をしたまま、
病室を出て詩織に電話した。
『あ、もしもし?』
〈莉子 !?
あんた大丈夫なの!?
これって最後の…〉
すごいテンパってる友人
『大丈夫。
ていうか殺さないでよ。
あたし死なないもん…』
〈あたし…二宮さんに
言っちゃってね…ウッ
あんたが心配で…死んじゃったって
思って…ウッ…〉
泣いてるのがすぐ分かる。
本当に心配してくれたんだ。
『あ…』
詩織と電話してる間、
見覚えのある背中が目に入る。
でも…それは震えてる背中
『和也』
そう呼び掛けると、
愛しい彼は涙を流してあたしを見る。
どうしよう。
和也を不安にさせた。
そんな思いを抱いていると
和也はあたしに近づいて
強く強く…強く抱き締めた。