第21章 涙の行方
『んぅ……痛っ…』
目を覚ますと目に写るのは
白く古い天井だった。
そして頭に襲う鈍い痛み
〈あ、起きましたか?
先生、患者さんが…〉
患者…?
白衣を来た女性が
あたしに近づいてくる。
ここは…病院?
なんで…?
〈あなたって勇気あるわよ。
ていうか運があるのかしら?〉
とあたしの様子を見ながら
カルテに何かを書いてそう言う。
『あの…痛っ…これは…』
〈4針だけオデコ縫ったわ〉
そう言ってオデコをツンツンと
押すと激痛が走った。
〈気を失ったからね、記憶が…〉
『あの…何が?』
〈工事現場のところ歩いてたでしょ?〉
『…あ…思い出した…』
そうだ、大学で工事やってて…
あ…子猫が…違う…
子猫を助けようとして…
〈4本くらいの木の柱が
あなたを襲ったの。
検査の結果異常はないけど…〉
『あ!詩織?こんなに…』
〈検査にちゃんと来てね?
後遺症が残るかもしれないから…
あ、友達には電話しといたけど〉
詩織から25件の着信
仕事大変なのに…
心配して?