第11章 【脹相】君の名
夜が明けて、呪霊の動きが落ち着いて来たところで拠点に戻る。
比丘尼が「お帰りなさいませ」と迎えてくれる。
食事をとる。
それが終わると少しの間、仮眠をとる。
虎杖は。
脹相はというと、窓辺にもたれかかりながら比丘尼が食事の後片付けをしているところを眺めている。
比丘尼は黙々と作業をしているが、意識はこちらに向いているのを感じる。
そして、片付けが終わるとようやく脹相の方に視線をやった。
「…お休みにならないのですか?」
「俺は半呪霊だから人間ほど休まなくてもいい」
「でも…半分は人間ですよね?」
的を射るような返しに脹相は黙り込む。
それに気づき、比丘尼も口を一度は閉ざすが「どうぞお休みください」とだけ言って部屋を出て行こうとする。
「今日も外へ出るのか?」
「はい」
「食事を作る度に材料を探しに行かなければいけないのか?」
「…対価も支払わずに食材をいただいておりますので、せめてその都度必要な分だけをと思っております」
「…そうか…何かあったら呼べ。頭に話しかけてくるアレがあるだろ。お前がいる場所ならだいたいわかる」
比丘尼は驚いたように一瞬脹相を見つめた。
そして、「ありがとうございます。いってまいります」と頭を下げて部屋を後にした。
脹相は窓辺に座って目を閉じる。
比丘尼の心が温かくなっている。
それが何だか心地良い。
そうしてしばし眠りにつく。
今までにない、感覚。