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【呪術廻戦】誰も知らない

第11章 【脹相】君の名


脹相と虎杖の呪霊狩りは呪霊の行動が活発になる夕方から明け方にかけて行われている。
昼間のうちはしばし身体を休めなければ、これからが保たなくなる。
そんな中、「外に出て参ります」と比丘尼が一礼して出ていこうとする。
昼間と言えど呪霊がそこらをうろついている現状だ。

「やめろ。呪霊がいる」

脹相は止めるが、比丘尼は「大丈夫ですので」と言って出ていってしまった。
脹相はもう少し強く止めるべきだったとも思った。
しかし、思い返せば渋谷事変後から比丘尼の気配を感じてここに連れて来るまで3日間、彼女は1人で過ごしていたのだ。
呪霊の被害も受けている様子はない。
呪力がないのにどうやってそれをやってのけたのかはわからない。
いや、脹相は比丘尼について何も知らない。
比丘尼は自分の出自から今までの150年間どのような状況でどのような感情で過ごしてきたかまで知っているのに。

(これは、不公平というやつだな…)

とりあえず比丘尼が帰ってくるまでは身体を休めながら無事かどうかは気配を探ろうと脹相は窓辺に座って目を閉じた。

そうしてどれくらいの時間が経ったかはわからないが、不意に身体にふわりと何かを纏った感覚で目を開けた。
どうやら眠っていたようだ。
身体には薄い毛布が掛けられていた。
視線を上げると目の前にいるのはもちろん比丘尼だ。

「起こしてしまい申し訳ありません。差し出がましいとは思いますが、横になってお休みされた方が疲れは取れると思います」

言葉は堅いが心は温かい。
その温かさで気持ちが緩みそうで、今の状況下ではそれが怖い。

「今から食事の支度を致します。もし時間が許すのであればどうぞ横になってお休みください。張り詰めてばかりでは保ちませんので」

脹相は比丘尼を見た。
心が読まれたかと思った。
比丘尼は「?」と不思議そうにこちらを見るのでそうではないのかもしれない。

「いや、いい。それより、作業しながらでいい。お前の話を聞かせろ」

「私の、ですか…?」

「お前は俺の出自から今までを知っているのだろう?俺がお前を知らないのは対等じゃない」

「…わかりました」

比丘尼は水を汲み、湯を沸かし始めた。

「何からお話をしましょうか?」

台所で何やら作業をしながら比丘尼が言った。
そう言われても脹相も何から聞けばいいかわからない。
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