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【呪術廻戦】誰も知らない

第11章 【脹相】君の名


「えーと、その人が脹相の向き合いたい人?」

部屋に入ると虎杖が第一声。
「八百比丘尼と申します」と名前だけの自己紹介をして比丘尼は頭を下げた。
「どうも」と虎杖も頭を下げる。
そして、二人とも脹相を見た。
説明を求められている。
その視線を受けて一拍。
脹相は気まずそうに視線を外して少しだけ考える。

「…弟の悠仁だ」

とりあえず虎杖の紹介をする。
虎杖は「またそれ?」と呆れ顔。
比丘尼はというと「…弟?」と、驚いた顔を脹相に向けた。

「悠仁は九相図ではない。異母兄弟と言ったところだ」

「異母…兄弟…?」

比丘尼はまだ理解が追いていない。
もう少し説明しないとならないらしい。

「九相図には、3人の親がいる。母と母を孕ませた呪霊、そして母と呪霊との間を安定させるための加茂憲倫の血が混ぜられている」

比丘尼はピクリと身体を反応させた。

「…加茂…憲倫の血…?」

比丘尼の雰囲気がみるみる内に変わっていく。
先程まで脹相を心配していた感情がそれ以上に大きなもので塗り替えられていく。
それを比丘尼も認識しているようで口元を抑え、努めて大きくゆっくり呼吸をしている。

「…すみません、続けてください」

「加茂憲倫は他人の身体を乗っ取る術式で生き永らえているらしい。後に悠仁の父親にもなっているようだ」

「…悠仁さんが弟だというのはどのようにして知ったのですか?」

「俺の血がそう言っている」

「…血が…では、そうなのでしょうね」

そんな二人の会話で「え、それで納得しちゃうの?」と虎杖は少し戸惑っている。
しかし、比丘尼はその後も普通に続ける。

「脹相さん、もしや先日お聞きした夏油傑は…」

察しがいい。

「あぁ、中は加茂憲倫だ」

「では、渋谷の一件も…」

「そうだ」

再び比丘尼の感情が大きく荒れる。
畏怖と悲しみ、しかしそれらを包み食らうほどの後悔の念。

〝あの時、私が――〟

不意に流れてきた思いに脹相は比丘尼を見る。
比丘尼も自分の感情が脹相に流れているのを認識したのかすぐさま顔を背けた。
一瞬だけ見えた比丘尼の瞳には光がなかったように感じた。
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