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【呪術廻戦】誰も知らない

第10章 最後の灯火


そして、その時がやってきた。
今までは感情の鱗片しかわからなかった。
しかし、急にそれがクリアになった気がした。
八重はすぐに気づいた。
九相図が天元の結界から出されたのだと。

(どうして?何故、結界の外にいるの?)

今まで結界の中にいたためか、九相図がどこにいるかまではわからなかった。
しかし、今はいる場所のだいたいの方角だったらわかるくらいになっている。
(どうして?)と(何故?)が頭の中を駆け巡る。
彼らに起こっていることは危機なのか、それとも救いなのか。
わからない。
そちらに向かうべきか。
迷う。
迷っているのに足は少しずつそちらへ向かっている。

(まだわからない。でも、近くまで行くくらいなら…)

ゆっくりだが確実に近づいている感覚がある。
そんな最中にさらなる変化。
自分の一部が血肉を得る感覚。
手放してたものの輪郭が浮き上がるような。
伝わる気配もより強くなる。

(…温かい。とても)

お互いを思う気持ちがとても強い。
彼らが150年間培ってきた絆。
きっととてもいい子たちなのだろう。

(…会いたい。一目でいいから。会って、謝って、それから…)

もう足取りは確実に彼らの元へ向かっていた。
走り出したい気持ちを抑えて、一歩一歩確実に向かう。
意外にも辿り着いたのは街中だった。

〝どこにいますか?〟

確証があったわけではないけれど、今なら自分の声が届くような気がした。

〝どこにいますか?〟

ちゃんと聞こえているだろうか。
呼び掛けながら気配を探る。

〝どこにいますか?〟

戸惑ってはいないだろうか。
すぐ近くにいる。
もう少し。
そこの路地を入れば。
目の前に男性が現れた。
八重は思わず息を呑む。
見た目は人間のように見えるが、どこか漂う空気が違う。

〝あなたですか?〟

意識で聞いてみる。
本当に伝わっているか知りたかった。

「お前が探しているのは俺だ。その訳の分からない話し方はやめろ、気色が悪い」

感情をほとんど込めない声。
ぶっきらぼうな話し方。
興味なさげに無表情。

(…でも、伝わってた)

「あなたでしたか…よかった…」

八重の顔は思わず綻んでしまった。
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