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【呪術廻戦】誰も知らない

第9章 逃走と分与


かなりの時間、階段を下っていた。
そしてようやく下層に着いた。
前を見れば向こうの方に光が見える。
そちらに向かって歩く。
光の中に入れば、とてつもなく広い空間に出た。
円形ドーム状で中央に太い木の幹がある。
そして、それを囲むように建物が段々に建っている。
八重が場に圧倒されていると「八重」と呼ばれた。
声をする方を見ると天元が立っていた。

「天元様!」

八重は天元に駆け寄った。

「もう現に干渉することはやめていたんだが…大変な物を持ってきたようだね。見せてごらん」

天元は事の顛末は知っているように詳しいことは尋ねてこなかった。
八重は体に縛り付けていた包みを外し、丁寧に包みから出してやる。
そして、標本瓶を綺麗に並べた。
その様子を天元は眉を寄せて見ていた。

「これが呪霊と人との間に出来た子らか…」

「この子たちはどのようなものなのでしょうか…一緒にいると呪霊が寄ってくるんです」

「これはもう呪物と化している。しかもかなりの呪力量だ。それを狙って呪霊どもが寄ってくるんだろうよ」

「え…この子たちは…」

「まだ生きているようだが、じきに死ぬだろうね」

『死』という言葉に八重は震えた。
この子らの母親を思い出す。
守ると誓った。

「死んでも呪物であることには変わりないから呪霊には狙われ続けるぞ」

「そんな…どうすれば…」

「この子たちは私が預かろう。ここで封印する。封印中は破壊できない代わりに周囲に害を及ぼさないという縛りを結ぶ」

破壊するという選択肢を消したのは八重の気持ちへの配慮であろう。

「…その後は…その後はどうなりますか?いつまで封印されるのでしょうか?」

「封印は…呪物である限りは続く。その間に呪いが消える可能性がないわけではないが、限りなく低いだろう。ただ、このままにはしておけない。封印か、破壊か…」

八重の瞳が揺れている。
その2択では封印しか選ぶ手がない。
しかし、それは九相図にとって救済となるだろうか?
封印している間、死んでしまうかもしれない。
死してなお封印され続けるかもしれない。
でも、生きているのに破壊は選べない。
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