第24章 いとほし日々[中編]
明日からの方針が固まったことで安心したのか、八重は放心して天井を見上げていた。
外は少しずつ薄暗くなり、そろそろ満月が昇り始める。
八重にとって最大のキラータイムはここからである。
(でも、大丈夫。もうこれ以上のことは起こらない)
そう思いながら瞳を閉じた。
数回大きく深呼吸をする。
眠りはしない八重なので、これからの夜は長くなる。
しかし、皆が寝静まった夜ならば部屋を出ても構わない。
図書室に行って、明日の献立を考えたっていいだろう。
そんなことを考えながら、更に大きく息を吸う。
そして、止まる。
気付いてしまった。
いや、今まで気付かなかったと言った方が正しい。
〝繋がり〟を絞っていたから。
ドアを隔てたその先にある気配に。
〝……脹相?〟
恐恐と名前を呼んでみる。
〝……〟
返事はないが、すぐそこにいる。
それだけで心が震える。
〝……あの、どうしましたか?〟
〝…俺はよくわからないが、こういう時は身体を温めるといいと聞いた。置いておくから必要なら使え〟
一方的にそう言い切るとすぐに気配は去っていった。
廊下に気配が完全にないことを確認してから、そっとドアを開けてみる。
ドアの前には大きな紙袋が置かれていたので回収した。
部屋に入ると袋に入っている物をベッドの上に一つずつ出していった。
小さい湯たんぽ
貼れるカイロに貼れないカイロ
お湯を注ぐだけで飲める葛湯
フワフワのブランケット
『Fe』という記号の書かれた瓶の飲み物
プルーンの紙パックジュース
そして、スープジャー
蓋を開けると生姜の香り。
一口飲むと出汁も何もとっていない、味の薄い液体。
(あぁ、だめだ…)
八重は本能的にそう思った。