第24章 いとほし日々[中編]
しばらくするとまたドアがノックされる。
また虎杖が来たのだろうかとドア越しに返事をする。
「あ、八重?なんか体調崩してるらしいじゃん」
軽快に話し始めるその声は最近やたらと接触してくる五条であった。
「悠仁からはさ、なんか『行くな』って止められたんだけど、そう言われると来たくなるよね。君でも体調とか崩すんだ?」
先日、八重のことを伝えるかどうか保留にしていたが、乙骨にも相談した上で話しておこうということになり、改めて場を設けて八百比丘尼のことは伝えてある。
その時は「へー」くらいの軽い返事だったが、それ以降から何かと絡まれることが増えたように感じていた。
八重としては、特級術師と呼ばれる人達は良かれ悪かれ不老不死という異質に興味を持つものなのだなという解釈で、周りの迷惑と自分の仕事に影響がない程度には付き合うようにはしていた。
「皆さんの『体調を崩す』とは少し違うのですが…」
「へー、どんな感じ?」
間髪入れずに尋ねられ、回答に困って少し唸る。
「…逃げ場がなくて苦しい、みたいな感じですかね……心タンポナーデみたいな」
「英語はわかんないくせにそういうのは知ってんだ?てか、結構なしんどさでしょ?それ」
吹き出しながら言う言葉にしんどさを理解しているような色は全く感じられない。
「だから、こうしてます」
そう答えたところで、「ふーん」と興味があるのだかないのだか分からないような五条の返事の後、少しだけ間が空いた。
その空いた間に滑り込ませるように、八重は以前から気になっていたことを投げかけた。
「五条さん、あなたの“目”に私はどのように映っていますか?」