第24章 いとほし日々[中編]
「ほら、悠仁もやってみな?」
五条が反対の手を虎杖の方へ差し出すので、虎杖も同じように手の平を差し出す。
しかし、五条と虎杖の手の平の間には見えない板でも挟んでいるかのように合わさることがない。
それには八重も驚いたようで、自分の手と虎杖の手を交互に見比べている。
「っまたまたー、五条先生、だって先生、通すものとか選択できるんでしょー?」
「それ、今やる必要、ある?」
「う…」
「これ、面白くない?面白いよね?僕は面白い」
変な三段活用みたいなことを言いながら、五条は八重の手を指と指を絡ませるように握る。
「こんな呪力が1ミリもないような普通の子なのに、僕の無下限を突破してくる。ホント、八重って何なの?」
その問いに八重と虎杖が目を合わせる。
二人の脳裏に浮かんだのは『もう八百比丘尼を名乗らない方がいい』という九十九からの言葉だった。
八重と虎杖は〝繋がり〟は結んでいないはずなのに。
〝どうしますか?言いますか?〟という刹那に。
〝いや、今ここでは……一旦ステイ!〟と下唇を突き出す虎杖。
それに八重がコクコクと小さく頷く。
一瞬のアイコンタクトでここまでやってのけた。
それを知ってか知らずか五条は「何、何〜?」と二人の間に割って入る。
「っうわー、ホント、何でだろう〜」という虎杖に続いて、「私、こんな不思議な現象、永く生きてきて初めて見ましたー」と八重が言う。
その言葉に虎杖がバッと八重を見て、それに遅れて八重がハッと口に手を当てる。
五条は口に拳を当てて震えながら何かを堪えていた。
「まぁさ!それについては追々話し合うってことで、先生、飯食いに行こうよ!八重さんも朝飯まだだよね?」
「あ、そうですね!行きましょう!」
「ほら、五条先生も八重さんの手、離して」
虎杖が五条に握られていない方の八重の手を引き、歩き出す。
「悠仁だって繋いでんじゃん」
五条も八重と手を繋いだまま歩き出す。
「いや、これは、先生が離さないから!」
「はいはい、行くよー」
結局は3人は仲良く手を繋いだまま、早足の虎杖と足の長い五条の歩幅に合わせることのできない八重がほぼ引きずられるような形で食堂へと向かった。