第4章 天元様
風呂から上がった八重は大広間に通された。
上座に天元が座っている。
そして、目の前には何とも言えない液体の入った茶碗を差し出されていた。
「喉に良い薬を煎じておいたよ。温かいうちに飲むといい」
そう言われて八重は意を決して得体の知れない液体を一気に飲み干した。
「ん、ゴホッ、ゴホゴホッ…に゛がい゛…」
「ハッハッハ、苦かったかい?でも、効いてるみたいだね」
涙目の八重だったが、初めて天元が笑っているところを見て安心したのか表情は綻んだ。
それを見て天元もまた優しい表情を浮かべた。
「しばらくここにいるといい。暇つぶしにお前の話を聞かせてくれ。まずはお前の名前を教えてもらおうか」
「名前は…八重と申します。私の話をとおっしゃいましても、何から話していいのか…」
天元が八重に起こった不可思議なことを聞きたいのだろうけど、あまりにも長い時間の話なのでそれのどこを話せばいいのかがわからなかった。
「いいよ、最初からで。八重が生まれた時の話から、時系列が整ってなくたっていい。徒然なるままに話せばいいさ。幸い、時間はたっぷりあるものでね」
「え?」
「私は不死なのさ。不老ではないけどね」
「それって、何か…特別なことがあったんですか!?」
「八重の話を聞きたかったのだけれどね。私のことに興味があるのか。それではまずは私の話をしようか」
天元は呪術のことや呪霊や呪術師の存在、そして自分自身についてを話して聞かせた。