第22章 【脹相】繋縛
そして、結界外の高専前に放り出された脹相は獄門疆・裏と九十九のノートを抱えて泣いた。
どうして命を賭けさせてくれないのか。
八重を羂索の手から救うにはそれしかなかったのに。
どうして自分だけ生かされたのか。
八重がどこからか駆けてきて、抱き起こしてくれた。
脱力した脹相の身体を支えて、覚束ない足取りで高専の校舎へ運んでくれた。
八重が献身的にすればするほど、羂索の危機から助けられていない事実が身に刺さる。
八重の手の温もりを感じれば感じるほど、自分の不甲斐なさに沈む。
そうして目の前の守るべきものさえも見えなくなって、またただ守られて、八重に一人で代償を背負わせた。
それに気付いたのが今さっき。
八重が手を離す瞬間を、痛みを取り去る瞬間を、傍から離れる瞬間を、見落とすべきではなかった。
独りにするべきではなかった。
八重はきっと独りになるのには慣れている。
しかし、もう独りにならなくてもいい。
誰かに弱さを見せたって、誰かに寄りかかったっていいと知ってほしい。
これから先、もう独りにならないためにも。
まずは明日、夜が明けたらすぐに八重の元へ向かおうと心に決めた。
八重が何を語るのか聞いてからでも遅くはないと思ったのだ。
だが、もし八重がそれでも真実を語ろうとしなかった時は…。
その時、自分はどうすればいいのか、脹相は考えあぐねていた。
そして、どうするか決まらないまま太陽と対面することになっていた。
自分の中での答えが出てもいないのにそこに留まることもできず、すくっと立ち上がり、八重のいる地下室に向かうのだった。