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【呪術廻戦】誰も知らない

第22章 【脹相】繋縛


明日になるまで、脹相は眠ることもできずに薨星宮でのことを思い返していた。

九十九と天元、3人でコタツに入っていた。

(これがコタツか…悪くない。悠仁達とも入りたいものだ…)

隣に虎杖が、向かいに八重が座り、「温まりますね」と微笑んでみかんを頬張る。
なんて平和な光景だろう。
想像するだけで胸が温まる。
そんなふうに過ごす生き方もあったのだろうかと考えるとやるせなさも感じる。
そんなことを考えていると、九十九が「で、まずは八重ちゃんについて聞かせてもらおうか」と話しだしたことで意識が現実に戻された。
天元は一度息を吐いてから口を開いた。

「そうだな。半分はその為に呪胎九相図には残ってもらったようなものだからな」

どうやら脹相が薨星宮に残ることは想定済みということらしく、それが八重に関係しているようだ。

「お前は八重の過去をどれだけ知っている?」

そう問われれば、脹相は意外にも八重の過去を知らないことに気付いた。

「どうして訊かない?」

天元の問いに「その話をすると八重が苦しむ」と答えたが、答えた後でそれがとても言い訳がましいと感じた。
八重が苦しむから?
苦しんでいる八重を見たくなかっただけではないのか?
本当であればその八重の苦しみを知ることこそが彼女を本当に理解するということなのかもしれないのに、自分はそれから目を背けていただけなのではないか、と。
心臓がドッドッドッと大きく早打ちする。
制御がきかない。
「お前も全ては知らなくていいと思っているようだが」と続ける天元に、(…そんなことはない)と心で否定しながら、天元が語る八重の過去に、今まで目を背けて来た自分との因果に耳を傾けた。

母と出会い、
羂索と引き合わせ、
呪胎九相図が誕生し、
母の死を見て、
九相図を助けるべく羂索と対峙し、
力を使い、
逃げる間は常に呪霊に狙われ、
力の代償を背負い、
不安の中で天元を頼り、
弱った九相図に寿命を分け、
自らの起源を失い、
その上150年もの間脹相の気配に心を寄せた。

八重が寿命を分け与えるほど人として大切なものを失い、
何かを拒絶するほど代償は彼女に重くのしかかる。

そして最後は海に還る。
彼女という存在は抹消されるのだという。
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