第22章 【脹相】繋縛
虎杖達が協力を仰ぎ、連絡係として高専に到着した星綺羅羅は八重の頼み通り脹相に服を貸し、状況を聞き出すと携帯電話で連絡をする。
相手は禪院真希のようだ。
今の高専の様子を伝えている。
しばらくして気持ちが落ち着いた脹相は、随分前から八重が近くにいないことに気が付いた。
そして、同時に戦闘で負った痛みがないことにも気付いた。
数日前に聞いた天元の言葉が過ぎる。
『八重に力を使わせないでくれ』
天元から託されたのは獄門疆・裏のみではない。
それを思い出し、ハッとする。
急いで気配を探る。
いつも繋がっているはずなのに、今はそれがとても薄く、細く、無理に引けば蜘蛛の糸のように千切れてしまいそうなほど頼りないものに感じた。
〝八重、どこにいる?〟
そんな状態で届くかどうかはわからないが意識を飛ばす。
返事はない。
グッと息が詰まる。
〝八重〟
〝八重〟
何度も名前を呼ぶ。
返事はない。
今度は違う声が過ぎる。
『アレと一緒ではないのか?』
戦闘に入る前の羂索の言葉。
〝八重〟
〝八重〟
何度も何度も縋るように名前を呼ぶ。
そして、最後に。
〝八重。頼む、返事をしてくれ〟
本当に縋る。
薨星宮から出てから、いいところはまるでない自覚はあったので自然と吐露できた。
それが功を奏したのかどうかはわからないが、意識が通じる。
〝……脹相、私は大丈夫です〟
微かに、しかし、確実に。
〝…今、どこにいる?〟
そう問えば、〝地下室に〟と短く返される。
いくら言葉を短くしても、隠しきれていない。
〝…どうしてそんなに、痛みがあるんだ…?〟
意識を押し出すのもやっとなほどの、痛みの感情。
それは八重の言葉よりも先に理解に響く。
〝これは……大丈夫です〟
大丈夫なはずがないことは脹相が一番よく知っている。
さっきまで自分にあったものなのだから。
〝…今から行く〟
あんな痛みに一人で向き合わせる訳にいかない。
(お前は側にいてくれただろう…)
しかし、〝…明日まで、待ってはいただけませんか?〟と八重は良しとしない。
〝…明日になったら…お話、しますから……どうか今は…一人にしてください……〟
どこか悲痛な訴えに引き下がるしかなかった。