第7章 【前半】偽りの残照:檻の中の無一郎【鬼滅/無一郎夢】
『僕を斬らないで』
息を呑むほど似た声で、偽物が囁く。
『君が望むなら、僕はずっとこの姿でいる。僕が代わって、君を幸せにしてあげる。……僕も、君が好きだよ』
嫌悪感が走る。本物が決して言わない言葉。気持ちが悪い。
そう思ったはずなのに、胸の奥では別の感情が、泥のように重く膨れ上がる。
一年前、打ち砕かれた願い。それを今、私は「あの人の声」で聞かされてしまった。
結局、私は刀を鞘に収めた。
罠ごとその鬼を引きずり、今は物置同然となっている祖父の鍛錬場跡――蔵の奥へと運び込んだのだ。
【続】