第3章 鋼の心と、優しい掌【鬼滅/子鉄夢】
里のいたるところで槌の音が響き、緑が息を吹き返し始めた頃。
わたしの元に、次の任務への伝令が届いた。
荷物をまとめ、里の入り口まで見送りに来てくれたみんなの顔を見る。
「……もう、行っちゃうんですか」
子鉄くんが、これまでにないほど神妙な面持ちであたしの前に立った。
その小さな手は、ぎゅっと握りしめられている。
「修行、まだ足りないって言ったのに。……でも、あんたがいないと、やっぱり調子が狂うっていうか」
俯いていた彼が、突然ガバッと顔を上げた。
その瞳には、並々ならぬ覚悟が宿っている。
「いいですか、忘れないでください! 助けてくれて本当にありがとう! ……今はまだ子供ですけど、僕が大人になったら、絶対にあんたのこと、家族にしてやるからな!!」
里中に響き渡るような、堂々たる求婚(?)。
あたしが真っ赤になって固まっていると、背後から冷ややかな、けれど独占欲たっぷりの声が響いた。
「……残念。子鉄くん、それは無理だよ」
*