第3章 鋼の心と、優しい掌【鬼滅/子鉄夢】
「……ああ、しつこい鬼ね! なかなか首を落とさせてくれないわ!」
蜜璃ちゃんのしなやかな剣筋が鬼を翻弄し、無一郎が音もなくその懐に滑り込む。
しかし、上弦の鬼も死に物狂いだ。
毒々しい血鬼術が炸裂し、あたり一面に爆炎が上がる。
「!」
無一郎くんが鋭く叫んだ。
「僕たちが隙を作る。……君のその『守りたい』って気持ちを、最後の一撃に乗せて。君ならできる!」
「ええ、信じてるわ! あなたの魂の輝きを見せて!」
柱二人が、あたしのために命懸けの道を作る。
ボロボロの体。
限界を超えた筋肉。
けれど、不思議と痛みは消えていた。
隣で子鉄くんが、必死に声を張り上げている。
「行けえええっ! ! あんたの根性、見せてやれ!!」
「……おおおおおっ!!」
あたしは地を蹴った。
無一郎くんの霞が鬼の視界を奪い、蜜璃ちゃんの刃が鬼の両腕を封じる。
その中心――完全な空白となった鬼の首筋へ、あたしは全身全霊を込めて踏み込んだ。
「これで……終わりだあああ!!」
銀光が闇を切り裂く。
手応えは、かつてないほど重く、そして確かだった。
鬼の首が宙を舞い、塵となって消えていく。それと同時に、東の空から金色の朝日が差し込んできた。
*