第12章 『"待つ" 時間も幸せ』
咲は、まだ少し赤いままの顔で、そっと手を握り直した。
「……もう少しだけ、居てもいいですか?」
凛人は小さくうなずく。
「……うん。むしろ居て」
少しの沈黙のあと、凛人がぽつりと言った。
「…咲。最後に充電していい?」
「…なんですか?」
少し首をかしげた咲に、凛人は照れたように視線をそらしながら小さく続ける。
「…もう1回、咲からキスして」
「……」
一瞬だけ固まったあと、咲はさらに顔を赤くして、そっと近づいた。
「……凛人くん…充電ちゅ…」
軽く、もう一度だけ頬に触れるキス。
離れた瞬間――
「……っ」
凛人は一気に顔を赤くして、片手で口元を押さえた。
「ちょ、待って……今の反則」
「え?」
「名前呼びでそれやるの、破壊力やばいんだけど……」
珍しく本気で照れて視線をそらす姿に、咲は少しだけ目を丸くする。
「……凛人くん?」
確かめるようにもう一度呼ぶと、凛人はさらに耳まで赤くなった。
「……だから、今それダメだって」
「ほんと…そーゆーとこ蓮て一緒だな…」
そう言いながらも、照れ隠しみたいにそっと咲の手を握り直す。
「……でも、ありがと。マジで元気出た」