• テキストサイズ

『はつこい』

第12章 『"待つ" 時間も幸せ』


ベッドの上で体を起こしたまま、凛人は少しだけ苦笑した。

「咲ちゃん〜、弱ってる男の家にノコノコ来ちゃダメだよ?」

からかうような声。けれど、どこか力が抜けている。

咲はじっと凛人を見て、小さく眉を寄せた。

「…凛人先輩だからに決まってるでしょ。」

その即答に、凛人は一瞬だけ目を細める。

「……他の人のとこ行ってもいいんですか…?」

少し拗ねたような声。

凛人は間を置かずに答えた。

「……無理。ぶん殴るかも、そいつ。」

「…ふふ、先輩、物騒。」

咲は小さく笑い、ベッドの横に置かれていた凛人の手をそっと取る。

「その手は、私と繋いでください…」

弱って少し熱い手が、ぎこちなく握り返してくる。

「……ありがと」

低く小さな声。
いつもより素直で、少しだけ甘い響きだった。

咲はそのまま、繋いだ手を見つめながら小さく息を吸う。

「先輩」

少しだけ身を乗り出し――。
/ 106ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp