• テキストサイズ

『はつこい』

第11章 『 "音"と名前のない関係 』


恋をするのも、
誰かをこんなふうに好きになるのも、

好きな人がすぐ隣にいる空間も、
当たり前みたいに手を繋ぐことも、
不意に甘い言葉をかけられて胸が苦しくなることも――

全部、全部、初めてだった。

嬉しい。
ちゃんと嬉しいはずなのに、

凛人先輩が近くにいるほど、
触れられる距離にいるほど、
どうしてか少しだけ、不安になる。

この距離に、名前はまだない。

私は先輩の「後輩」で、
でも、ただの後輩よりずっと近くて、
だけど――彼女では、ない。

「……私、今、どこに立ってるんだろう」

小さくこぼした言葉は、
自分でも驚くくらい、震えていた。

けれど、それでも思う。

恋をするのも、
好きな人の隣にいるのも、
この胸がぎゅっと締めつけられる不安さえも、

きっと全部、
先輩がくれた――私の、はじめて。
/ 106ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp