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『はつこい』

第7章 『 心が揺れる音 』


☆ 先輩 視点☆


その夜。

ベッドに横になりながら、凛人は静かに天井を見上げていた。
部屋は暗く、さっきまでの体育館の光景が何度も頭の中に浮かぶ。

耳元で声をかけた瞬間。
驚いたように息を止めて、顔を真っ赤にした咲。

あの距離。

凛人は小さく息を吐く。

(……抱きしめるの、普通に我慢してた)

あのまま腕を伸ばせば、簡単に触れられた。
一歩踏み込めば、そのまま離したくなくなりそうだった。

(……まだ早い)

そう思ったから、手を出さなかっただけだ。

目を閉じる。

(やっぱり、あの子は咲で確定だな)

中学の頃、公園で聞いた声。
何度も思い出してきたあの言葉と、今日の言葉が重なる。

「……先輩、かっこいいから大丈夫です。負けないです」

胸の奥に、静かに熱が残る。

(守りたい)

少し間を置いて、心の中で続ける。

(……会いたい)

次に会ったとき、またあの顔を見たら――
今度は、ちゃんと我慢できる自信ない。
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