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『はつこい』

第7章 『 心が揺れる音 』


《 その夜、岩田家のリビング 》

テレビの音だけが小さく流れる中、ソファに座った咲が、落ち着かない様子でクッションの端をいじっていた。

「……おにぃ、おねぇ」

双子が同時に振り向く。

「ん?」
「どうした?」

咲は少しだけ視線を落としてから、小さく息を吸った。

「あのね……やっぱり私……」

言葉が一瞬止まる。
それでも、ぎゅっと指を握って続けた。

「……先輩のこと、好き……」

一拍の沈黙。

次の瞬間――

「やっとかー!」
「遅い!」

双子が同時に笑い声を上げる。

「え、ちょっと、からかわないでよ……」

「いやいや、だって絶対そうなると思ってたし」
「むしろ今まで気づいてなかったのがすごい」

咲は少し頬を赤くしながら、小さく続ける。

「前に、『好きって気づいたら教えて』って言ってくれたから……言わないとって思って」

その言葉に、双子が一瞬だけ顔を見合わせる。

「……なにそれ」
「ちゃんと約束守ろうとしてんの、ほんと真面目」

そして二人同時に身を乗り出した。

「もぉーー、ほんと可愛い」
「凛人に聞かせてやりたい」

「だ、だめ!」

慌てて首を振る咲を見て、双子はまた笑う。

「安心しろ、勝手には言わない」
「でもまあ、その顔見たら凛人すぐ気づくと思うけどな」

咲はクッションを抱きしめたまま、照れたように小さく笑った。
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