第7章 『 心が揺れる音 』
《 蓮と凛人 男子トーク 》
バスケ部の休憩中。
体育館の壁際に座り、タオルで汗を拭きながら蓮と凛人が並んでいた。
「そういえばさ」
蓮がペットボトルを振りながら言う。
「BBQ、普通に楽しかったな」
「ひっさびさにBBQしたわー」
「ああ、肉うまかった」
凛人も頷く。
凛人は少し遅れて、水を一口飲んでから口を開いた。
「……咲、髪型いつもと違ったよな」
蓮がすぐに反応する。
「お、見てたじゃん」
「ちゃんとチェックしてる」
「いや、たまたま目に入っただけ」
「はいはい」
「で?」
少し間を置いて、凛人がぼそっと言う。
「……可愛かった」
数秒の沈黙のあと、蓮が吹き出す。
「それ、本人に言ってんの?」
「まさか心の中だけ?」
「……言ってない」
「もったいな」
「絶対言われたら喜ぶのに」
「朝、時間かけて頑張って結んでたからなー」
凛人はタオルを首にかけながら、少しだけ眉を寄せる。
「急に言ったら、あいつびっくりするだろ」
「いや、むしろ待ってるまである」
「BBQの時、結構お前のこと見てたし」
「飲み物渡された時、ちょっと照れてたぞ」
凛人の手が一瞬止まる。
「……まじ?」
「うん、分かりやすいくらい」
「距離近くなっても逃げないし」
「むしろ、ちょっと嬉しそうだった」
凛人は小さく息を吐く。
「……なら、今度タイミングあったら言う」
「お、進展」
「ついに攻める気?」
「別に攻めるとかじゃない」
立ち上がりながら、凛人は視線をコートに戻した。
「……思ったこと言うだけ」
蓮がニヤッと笑う。
「それが一番効くんだって」
「咲、ああいうの弱いからな」
「言われたあと、絶対顔真っ赤になる」
「むしろ、初めてでぶっ倒れるかもな(笑)」
凛人は少しだけ口元を緩める。
「……想像つく」
「おい、今ちょっと楽しみにしただろ」
「顔出てるぞ」
「出てない」
ボールを拾い上げながら、凛人が小さく付け加える。
「……でも、確かに」
「BBQの時、いつもより楽しそうだった」
蓮がニターって笑い。
「はいはい、完全に見てる人の感想」
「やっぱ凛人、咲のことちゃんと見てるわ」
「ほんと、お前 強いわ」
「当たり前だろ」
短くそう言って、凛人はコートへ戻っていった。