第6章 『 確信になる音 』
☆ 蓮 視点 ☆
体育館の端で、俺たちはウォームアップをしながらコートの様子を眺めていた。
「……分かりやす」
隣で小さく呟くと、もう一人も肩を揺らす。
「さっき教室で顔赤かったよね。あれ絶対、自覚したわ」
視線の先では、凛人がシュート練習をしている。
その近くを、ボールを抱えた咲が小走りで通り過ぎた。
「先輩、これ置いておきますね」
「お、サンキュ」
何気ない、いつも通りの会話。
でも、少しだけ違う。
凛人がボールを受け取るとき、ほんの一瞬だけ咲の顔を見て、
すぐに目を逸らしてしまった。
「……あ、あの、この前は本当にありがとうございました!」
「ん? あー…体調良くなって安心した」
短く答えながら、なぜか少しだけぎこちない。
咲は特に気にした様子もなく続ける
「じゃあ、またボール拾ってきますね」
そう言って走っていく背中を、凛人が一瞬だけ目で追う。
「……ほら」
俺が小さく笑うと、桜も同じように頷いた。
「まぁー、自覚した凛人、つよいぞー。笑」
「だね〜。成瀬、決めたら早いタイプだし」
コートの中では、凛人が少しだけ息を吐いてから、
いつもより真剣な顔でボールを構える。
そのフォームのまま、もう一度だけ、
遠くでボールを拾っている咲の方へ視線を向けた。
「……見すぎだけどな笑」
「……ま、見守っとくか」
「だね。あとは時間の問題」
「頑張って、妹」
体育館に、ボールの弾む乾いた音が、軽く響いた。