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『はつこい』

第6章 『 確信になる音 』


(もう、“気になってる”じゃない)

(俺――咲のこと、好きになってる。)

そう自覚した直後だった。

ふと窓の外に視線を向けると、廊下を歩く見慣れた姿が目に入る。

咲だった。

友達と並んで歩きながら、何かを話して笑っている。
何気なく顔を上げたその瞬間、視線がぶつかった。

「……っ」

一瞬、息が詰まる。

さっきまで普通に見ていたはずなのに、
“好きだ”と自覚した途端、どうしていいか分からなくなる。

反射的に目を逸らしてしまって、
それから数秒遅れて、頬が熱くなるのが分かった。

(やば……)

今さらみたいに鼓動が速くなる。
たった一瞬目が合っただけなのに、落ち着かない。

「凛人?どした、顔赤くね?」

隣で双子が小さく笑う。

「……うるせ」

短く返しながら、もう一度だけ、そっと廊下を見る。

咲はもう前を向いて歩いていて、
さっきのことなんて気にしていない様子だった。

それでも――

(……ほんと、分かりやすいな俺)

小さく息を吐く。

(でも)

(もう、止まんねぇかも)
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