第8章 初めての寮生活
「…勝己くん、やめて。……出久くんは悪くないの。私が……私から誘ったんだよ」
「……あァ!?」
「昨日の夜、出久くんが話を聞きに来てくれて……。私、安心したらまた身体が疼いちゃって。……だから、出久くんにお願いしたの。勝己くんがしてくれてるみたいに、助けてって」
爆豪の顔が驚愕に染まる。
自分だけが知っているはずだった彼女の「熱」を、宿敵である緑谷に自分から分け与えたという事実に、爆豪の自尊心が激しく軋んだ。
「……テメェ……ッ! 誰にでも股開くほど、頭までヴィランに壊されたのかよ!! 俺がいながら、何で……ッ!!」
「……勝己くん。……あたしたち、付き合ってるわけじゃないよね?」
の静かな一言が、爆豪の怒りを凍りつかせた。
「勝己くんは、あたしを『治療』してくれてるだけ。……なら、出久くんに救けてもらったって、勝己くんに責められる筋合いはないと思う」
「……っ、てめ…………ッ!!」
爆豪は言葉を失い、拳を震わせた。
彼女の言うことは正しい。
自分は彼女が好きで抱いていたが、まだ告白の返事はもらえてなく、正式な恋人ではない。
過去の過ちで、関係を進められなかったのは自分のせいだった。
「……勝己、くん……」
「……勝手にしろ」
爆豪は吐き捨てるように言い、背を向けた。
「……誰に抱かれようが、どうなろうが知らねぇよ。……ただ、これだけは言っとく。……俺は、テメェを諦めねぇし、誰にも渡す気はねぇ」
それだけ言い残すと、爆豪は荒々しく部屋を出て、隣の自室の扉を壊さんばかりの勢いで閉めた。
沈黙が流れる部屋。緑谷は青ざめた顔でを見つめた。
「……ちゃん、……言い過ぎじゃなかったかな。かっちゃん、あんな顔……」
「……いいの。……勝己くんには、分かってほしかったから」
彼女の瞳には、昨夜までの絶望ではなく、自分の意志で前に進もうとする強い光が宿り始めていた。