第8章 初めての寮生活
「……あ、……っ、……かつきくん……」
「……外の奴らは、俺が追い払ってやった。……怖がる必要ねぇよ」
爆豪はベッドへ戻り、震え始めた彼女を背後から包み込むように抱きしめた。
「……ごめん、なさい……。私が、こんなだから……っ、勝己くんまで変に思われちゃう……っ」
「……勝手に思わせておけ。……テメェの身体が元に戻るまで、俺が抱きしめてやるよ」
爆豪の不器用な優しさが、の心を少しずつ、けれど確実に解かしていった。
「ハイツアライアンス」の夜は更け、あちこちの部屋から漏れていた騒がしい声も、今は静寂に包まれている。
自室のベッドに横たわっていた緑谷は、天井を見つめたまま眠りにつけずにいた。
脳裏に焼き付いているのは、神野のあの凄惨な光景。
そして、今日再会したの何かに怯えるような、どこか虚ろな瞳。
中学時代、あの同級生との事件を境に姿を消した。
行方を探しても「引っ越した」という言葉だけで片付けられ、幼馴染の繋がりはぷっつりと断たれていた。
(……あんなに震えて、かっちゃんに縋って……。ちゃんの身に、一体何が……)
考えれば考えるほど、胸のざわつきは収まらない。
気づけば緑谷は、居ても立ってもいられず、上着を羽織って部屋を飛び出していた。
爆豪の部屋の隣、の部屋。
その扉の前で、緑谷は数分間躊躇した後、意を決して小さな音でノックをした。
「……はい、どなたですか?」
扉越しに聞こえた、震える細い声。
「……僕だよ、出久。……こんな時間に、ごめんね。少しだけ、話せないかな」
少しの沈黙、拒絶されるかと思ったその時、鍵の開く音がして、扉が僅かに開いた。
隙間から覗くの顔は、泣き腫らしたように赤く、どこか幼い頃の面影を強く残していた。
「……出久、くん。……勝己くんなら、さっき自分の部屋に戻ったよ?」
「ううん、かっちゃんじゃなくて、ちゃんに会いに来たんだ。……中学の時から、ずっと……心配だったから」
その言葉に、の瞳が揺れた。
緑谷は、彼女をいつも守ってくれた優しい幼馴染だ。
は迷った末に、彼をそっと部屋へと招き入れた。