第6章 新しい日常
「ほら、さっさと食わねぇと冷めるぞ。ババアの飯は冷めるとクソ不味いからな」
爆豪がぶっきらぼうに茶碗を差し出すと、対面に座る光己の拳が即座にその脳頂に振り下ろされた。
「誰がクソ不味い料理作るってのよ! あんたに食べさせるのは勿体ないくらいなんだからね!」
「ってぇなクソババア! 人がせっかく用意してやってんのに!」
目の前で繰り広げられる爆豪親子の怒涛のやり取りに、は思わず目を丸くし、それから小さく吹き出した。
「ふふっ……、あはは!」
「あ、……笑ったわね? ちゃん、いいのよ、このバカ息子は放っておいて。さあ、温かいうちに食べて」
光己が優しく微笑み、の皿に大盛りの煮物を分ける。
「……はい。いただきます。……美味しい。すごく、温かいです……」
一口食べると、出汁の優しい味が身体中に染み渡った。
あの地下室で与えられていた家畜の餌とは違う、愛情の籠もった食事。
「あ、そうだ。いつまでも『おばさん』なんて他人行儀な呼び方は禁止よ! 私のことは『光己さん』でいいから。ね?」
「え……。いいんですか? ……光己さん…」
「いい響きだわ! もう一回言って!」
「ちょっと待てコラ、ババア! 調子に乗ってんじゃねぇ!」
「うるさいわね、勝己! さあ、ちゃん、おかわりもあるからね!」
「……ふふ、はい。光己さん、ありがとうございます」
賑やかで、少し騒がしくて、けれど絶対的な安心感に満ちた食卓。
は、自分が「人間」としてこの場所に受け入れられている幸せを噛み締めるように、ゆっくりと箸を進めた。
爆豪家の二階、物音ひとつしない深夜。
光己の作ってくれた温かい料理に癒やされたはずのだったが、部屋のベッドに入っても、身体が熱を求めて暴れていた。
毎日昼から朝方まで、休みなく男たちに蹂躙され、白濁を流し込まれ続けてきた一ヶ月。
その周期が、彼女の細胞に深く刻み込まれてしまっていたのだ。
暗闇の中で身体を丸め、熱くなった秘所を擦り合わせていたが、はついに耐えきれず、隣の部屋のドアを静かに開けた。