第6章 新しい日常
少しの荷物を家に取り戻り、その足で爆豪の実家に一歩足を踏み入れると、そこには懐かしいく、眩しすぎるほどの「日常」の匂いが広がっていた。
「おかえり、勝己! ……そして、よく無事で戻ってきたわね、ちゃん!」
玄関で二人を待ち構えていた光己は、の顔を見るなり、その細くなった身体を力いっぱい抱きしめた。
「……おばさん、……っ、ごめんなさい、急に……っ」
「謝るんじゃないわよ! あんたがどれだけ怖い思いしたか……。勝己から少しは聞いたわ。今は何も考えなくていいから、ゆっくりしなさい」
光己は、の頬を優しく撫で、母親のような温かい眼差しを向けた。
詳しい陵辱の内容こそ伏せられているが、光己はそのやつれた様子から、彼女が受けた傷の深さを察していた。
「さあ、部屋は二階の空き部屋を掃除しておいたから! 好きなだけ使いなさい。……ああ、可愛い娘が欲しかったのよね、私! 今日からあんたは私の娘よ!」
「え……っ、娘、……ですか?」
「そうよ! 勝己みたいなクソ生意気な息子じゃなくて、可愛い子が家の中にいるなんて最高だわ。服も買いに行かなきゃね、美味しいものもいっぱい食べさせるわよ!」
光己の屈託のない明るさに、の強張っていた表情が少しだけ綻ぶ。
その横で爆豪が額に青筋を立てて吠えた。
「おい、ババア! 勝手に娘にしてんじゃねぇよ! こいつは俺が連れてきたんだ、俺の客だろーが!」
「うるさいわね! あんたが連れてきたから、うちの子になるんでしょうが! それとも何、あんたこの子に手を出そうなんて不潔なこと考えてんじゃないでしょうね!?」
「あァ!? …ッ、テメェ、話が飛躍しすぎなんだよクソバア!!」
「勝己くん、おばさん…っ、喧嘩しないで……っ」
慌てて二人を止めようとする。そんな彼女の肩を、光己はぐいっと引き寄せた。
「いいのよちゃん、これがうちの通常運転だから! さ、勝己は放っておいて、お風呂入っちゃいましょう。私がとっておきの入浴剤入れてあげるからね」
「あ、……はい! ありがとうございます」
「……チッ、……勝手にしろ」
光己に連れられて脱衣所へ向かうの背中を、爆豪は苦々しそうに、けれどどこか安堵したような目で見送った。