第5章 『極上ミルク』の正体
「……全部あいつらがクソなんだ。お前は生きるために、必死だっただけだろ。……お前は何も、これっぽっちも悪くねぇ!!」
「爆豪くん……」
塚内は、自分を責めるように叫ぶ少年の姿と、その腕の中で泣き崩れる少女を見つめ、深く、深く溜息を吐いた。
「……ありがとう。十分だ。……あとはこちらで、その『ミルク』を買った連中も一人残らず洗い出す。君は、ゆっくり休んでくれ」
塚内たちが退室した後も、爆豪は彼女を抱きしめ続けた。
「……勝己くん…あたし……これから、どうなっちゃうの……?」
「……俺が、元の、……いや、元よりもっと幸せなお前に戻してやる。……俺の全部を使って、な」
爆豪の誓いは、病院の白い壁に静かに、けれど力強く響いていた。
塚内警部たちが去り、静まり返った病室。
ジーニストは爆豪の並々ならぬ執着と、の精神状態を鑑み、「今日一日だけ」という条件で付き添いを許可した。
夕刻運ばれてきたのは病院の温かい食事だった。
「……ほら、食え。温かいうちに」
爆豪はトレイを彼女の前に置いた。
湯気の立つ白米、出汁の香る味噌汁。
地下室で家畜のように床に置かれた冷え切った皿とは、何もかもが違う。
「……っ、……おいしい……おいしいよ、勝己くん……」
は震える手で箸を持ち、涙をボロボロと零しながら、一口ずつ、噛みしめるように食べ進めた。
人の温もりがこもった味。
それは彼女が「人間」であることを辛うじて繋ぎ止めるための、唯一の希望のようだった。
は完食し、トレイが下げられた後、身体の奥底から、得体の知れない「違和感」が這い上がってきた。
「……あ、……ぅ、……は、ぁ……」
「……おい、どうした? 気分が悪ぃのか」
爆豪が顔を覗き込むがは返事ができなかった。
胃は満たされているはずなのに、脳と身体が猛烈な空腹を訴えて叫び声を上げていたのだ。
一ヶ月間、毎日のように繰り返された、男たちの熱い種子を飲み込み、ナカを白濁で満たされることで完結していた「食事」のサイクル。
の細胞は、純粋な栄養ではなく、男の欲望と屈辱を混ぜ合わせた「熱い白濁」を摂取しなければ、本当の意味で満足できないように作り変えられていたのだ。