第5章 『極上ミルク』の正体
病室の空気は、再び張り詰めたものへと変わっていた。
女性医師による慎重な問診を終え、心身ともに「話ができる状態」であると判断された。
爆豪はジーニストの懸念を跳ね除け、彼女の希望もあって、特例として事情聴取への同席を許された。
対面に座るのは、沈痛な面持ちの塚内警部
「……辛いだろうが、話せる範囲でいい。あそこの実態について、教えてくれるかい」
塚内の穏やかな問いかけに、はビクッと肩を揺らした。
隣に座る爆豪は、折れてしまいそうなほど細くなった彼女の手を、自身の大きな掌で包み込み、決して離さない。
「……毎日、お昼になると……男の人たちが、来て……。胸に、搾乳機を……」
絞り出すような彼女の声。
語られる内容は、プロのヒーローや警察官であっても正視しがたい、悍ましい「家畜」としての生活だった。
「……ミルクを出すためにナカを……前も、後ろも、ずっと、かき回されて……。イかないと、終わらせてくれないんです……」
「……ッ!!」
爆豪の掌に、ギリリと力がこもる。
隣で聞く爆豪の脳裏には、自分がかつて彼女の意志を無視して初めてを奪った時の身勝手さが、ヴィランたちの暴行と重なり、鋭い棘となって突き刺さる。
「食事についてはどうだった? 監禁場所には、調理設備もなかったようだが……」
塚内が核心に触れると、は唇を噛み締め、さらに声を震わせた。
「……お水は、少しだけで……。あとは、その……男の人たちの、モノを……口に突っ込まれて……。それを飲まないと、ご飯を、もらえなくて……」
「…………」
塚内が絶句し、ペンを持つ手が止まった。
男たちの種子を、生存のための「餌」として強要されていた。
その事実に、室内は耐え難い沈黙に支配される。
「……あ、たし……だんだん、お腹が空くと……自分から、欲しくなっちゃって……っ。飲まないと、お腹が、痛くて……っ。…あたし、もう、人間じゃない……っ!」
「ちげぇ……っ! お前は、お前だ……!!」
爆豪は耐えきれず、椅子を蹴るように立ち上がると、彼女を横から抱き寄せた。