第10章 欲しがる者と与えるモノ
爆豪との激しい朝を終え、見送った後シャワーを浴びてその痕跡を洗い流す。
(……今日は、心操くんの部屋でこの後……)
「いい子にしてろ」と言われたが、今日は心操との約束の日。
いつもは昼休みのわずかな時間、見つかるかもしれないスリルの中で、制服を捲り上げるだけの、切羽詰まった交わり。
けれど今日は、何時間も彼と二人きりで過ごすことになる。
心の中では爆豪に謝った。
「今日は、全部、脱がされるんだよね……」
鏡の前で、まだ赤みの引かない鎖骨を指でなぞる。
いつもと違う「密会」の重みに心臓がトクンと跳ねた。
お昼過ぎ。
がC組の寮エリアへ足を踏み入れると、数人のクラスメイトが談話室でくつろいでいた。
「あれ、ちゃんじゃん! こっちの棟に来るなんて珍しいね」
「あ……えっと、その……」
予期せぬ呼びかけに、の指先が強張る。
まさか「抱かれに来た」なんて言えるはずもない。
言い訳を探して視線を泳がせていると、背後から低く落ち着いた声がした。
「……おい、遅いぞ」
心操が、気だるげに壁に寄りかかって立っていた。
「あ、心操くん……!」
「こいつ、次の演習の座学がヤバいって泣きついてきたからさ。……俺が勉強見てやることにしたんだよ」
心操は淡々と嘘を吐き、の隣に立つ。
「えー、心操くんが勉強教えるなんて意外!」
「もしかして二人っきり? 休日に部屋で勉強会なんて、なんか怪しいんじゃな~い?」
冷やかす友人たちの声を背に、心操はフイッと顔を背けた。
「……うるせぇよ。早く行くぞ、」
「う、うん。……お邪魔します」
心操はの手首を軽く掴むと、早歩きで自室へと導いていく。
友人たちの笑い声が遠ざかり扉の前に立つと、心操がポケットから鍵を取り出した。
ガチャリ、と重い音が響く。
部屋の中に入り扉が閉まった瞬間、それまでの「クラスメイト」の空気は霧散した。
「……心操、くん……」
「……やっと二人きりだな。……今日は、昼休みみたいに急がなくていいんだろ?」
振り返った心操の瞳には、勉強会なんて言葉とは程遠い、熱い欲望が渦巻いていた。