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その極上ミルクは誰のもの? 【ヒロアカ R18】

第10章 欲しがる者と与えるモノ



「……ありがとうございます。……自分でも、なんだか体が軽いというか、集中力が切れないんです」


心操はそう答えながら、無意識に自分の喉元をさすった。
昼休み、彼女から与えられたあの「ミルク」の熱が、まだ全身の細胞を活性化させている。
個性の発動速度も、思考の回転も、以前の自分とは比べ物にならない。


「……お前、ここ最近ずっとそうだな。以前は放課後になると集中力が落ちる傾向があったが、今は逆に、放課後の方がエネルギーに満ちているように見える」


相澤の鋭い視線が、心操を射抜く。


「何かあったか? 特訓の内容を変えたわけでもないし、ドーピングの類をやるような奴でもないだろうが」

「……まさか。そんなの、ヒーロー志望として論外ですよ」


心操は自嘲気味に笑い、空を見上げた。


「ただ……守りたいものができたんです。……絶対に、誰にも渡したくないような。そのために、もっと強くならなきゃいけないって……本気で思ってるだけですよ」


その言葉に含まれた重すぎる執着に、相澤は僅かに眉を動かした。


「守りたいもの、か。……ヒーローとしては正しい動機だが、お前のそれは、少しばかり『欲』が強すぎるように聞こえるな」


「……否定はしません」


相澤は、心操が同じクラスの――かつて自分が救出した、あの心に深い傷を負った少女――と密かに繋がっているとは、微塵も思っていなかった。
ましてや、その教え子が彼女の特別な「ミルク」を飲み干し、その恩恵で力を得ているなど想像の範疇を超えている。


「ふん。……まあいい。理由が何であれ、結果が出ているなら文句はない。だが、空回りして自分を壊すなよ」


「わかってますよ……俺は、俺のやり方で……彼女を救うつもりですから」


心操は相澤に背を向け寮の方へと歩き出した。


その背中を見送りながら、相澤は拭いきれない違和感に首を傾げる。


(……救う、だと? ……今のあいつ、まるで獲物を隠し場所に囲い込もうとする獣のような顔をしていたぞ……)



一方、心操は歩きながらスマホを取り出し、部屋で爆豪に抱かれているかもしれない「彼女」へと指を滑らせたーー。



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