第10章 欲しがる者と与えるモノ
出し切った疲労と彼女を自分のモノだけで満たしたという安堵が、爆豪の荒れ狂う心を少しだけ静めていた。
「……おい。……今日は寝ろ。これ以上無理だ」
爆豪は乱れたシーツを整えを毛布で包み込んだ。
本当は一晩中離したくない。
だが、これ以上抱けば今度こそ彼女の身体を壊してしまうという自制心が、彼を辛うじて踏みとどまらせていた。
「……勝己くん……。……ごめんね、……ありがとう……」
「……謝んな。……明日、また……俺の目の届く範囲にいろ。いいな」
爆豪は不器用な手つきで彼女の頭を一度撫でると、名残惜しそうに背を向け、自分の部屋へと戻っていった。
だが、彼はまだ知らない。
彼女のスマホに、一通の通知が届いていることを。
爆豪が去り静まり返った部屋。
シーツに染み付いた爆豪の匂いに包まれながら、がようやく呼吸を整えていた時だった。
控えめだが、どこか切迫したノックの音が響いた。
「……はい」
扉を開けるとそこには緑谷と轟が沈痛な面持ちで立っていた。
「……出久くん、焦凍くん。……どうしたの、二人とも」
「……ごめん……今日、早退したって聞いて……どうしても顔が見たくて」
緑谷が泣き出しそうな瞳でを見つめる。
轟もまた言葉少なに彼女の顔色を窺っていた。
久しぶりに、爆豪の怒号や暴力的な情愛を抜きにして会えた二人の姿に、の心にわずかな安らぎが宿る。
「……ふふ、嬉しい。二人とも、心配してくれてありがとう。……中に入って?」
部屋に招き入れ二人に椅子を勧める。
だが、二人の視線は部屋に漂う爆豪の残り香や、彼女の首元に点々と刻まれた紅い痕に、隠しきれない苦しさを湛えていた。
「……。体調はどうなんだ。その……かなり深刻だって聞いたが」
轟が、重い口を開いた。
二人は彼女が救出された際の惨状も、その後の「後遺症」のことも大まかには把握している。
だが、彼女自身の口から語られる「現状」は、彼らの想像を絶するものだった。
「……うん。……普通じゃないの、私の身体。……治崎に壊されて、機械で毎日……。今は、誰かにナカを掻き回されてないと、……疼きが止まらなくて……」
「……っ、……そんな……」
緑谷が口元を抑え絶句した。