第10章 欲しがる者と与えるモノ
寮の自室に戻り扉に鍵をかけた瞬間、は崩れ落ちるようにその場に座り込んだ。
心操から借りたハンカチをゆっくりと引き抜くと、それは彼の種子と彼女自身の蜜が混ざり合いドロドロに汚れていた。
「……すごい、量……」
下着ももはや布の役割を果たさないほどに濡れ透り、肌に冷たく張り付いている。
フラフラと浴室へ向かい熱いシャワーを浴びると、ナカに溜まっていた心操の熱が、白濁した塊となって足元へ零れ落ちていった。
(……心操くんまで、巻き込んじゃった……)
クラスメイトを、ヒーローを目指す彼を、自分の汚れた渇望のために利用してしまった。
その罪悪感が胸を締め付ける。
けれど、それ以上に熱を鎮めてくれる存在が近くにできたことに、どうしようもない安らぎを感じていた。
一方、心操は教室に戻り、いつものように自分の席に腰を下ろしていた。
だが、視線の先にあるの空席が、嫌でも先刻の出来事を脳裏に焼き付ける。
(……嘘じゃねぇんだな、あれ)
鼻腔に残る彼女の甘い匂い。
自分の指を、そして自身の猛りを熱く締め付けていたナカの感触。
静まり返った授業中、教師の声が遠くで響く中で心操は無意識に自分の右手を握りしめた。
(あんなに……あんなに酷い目に遭わされてたのか、あいつ……)
彼女が語った絶望的な蹂躙。
それを思い出すたびに激しい憤りが込み上げるが、同時に、自分の種を受け入れて「救い」だと泣いた彼女の姿が、心操の理性を容赦なく削っていく。
「……っ、……あァ、くそ……」
机の下で再び熱を帯び硬く脈打ち始めた「そこ」を、心操は必死に無視しようと奥歯を噛み締めた。
クラスメイトが真剣にノートを取る日常の風景の中で、自分だけが彼女のナカに注ぎ込んだあの淫らな共犯の感覚から抜け出せずにいる。
一度知ってしまった、壊れかけの少女を救うという背徳的な充足。
心操はペンを握る手に力を込め、はち切れそうな衝動を理性で無理やり押さえ込みながら、空席の主のことを考えていた。