第10章 欲しがる者と与えるモノ
静まり返った空き教室に、二人の荒い呼吸だけが重なっていた。
初めて知った女体に、心操は真っ白になった頭を教卓に預けたまま、指先ひとつ動かせない放心状態に陥っていた。
ナカで脈打つ感覚がまだ残っている。
「……はぁ、……っ、……はぁ……」
先に身を起こしたのはだった。
身体の疼きが心操の放った熱い「種」によって凪ぎ、彼女の瞳には今朝のような落ち着きが戻っていた。
スカートを整えると、まだ呆然としている心操の頬にそっと手を添えた。
「……ありがとう、心操くん。……おかげで、ようやく身体の震えが止まったよ……」
「……っ、……あァ。……お前が、……落ち着いたなら、いい」
心操は我に返り顔を背けながら乱れた服を直した。
クラスメイトに学校の空き教室で中出しまでしてしまった。
ヒーローを目指す者としての倫理観と、彼女を救ったという奇妙な充足感の狭間で心操の胸は激しく軋む。
「……最低だな、俺も。……お前の力になれたのなら、それでいいけどよ……」
「そんなこと、ない。……心操くんは、本当に私のヒーローだよ」
は潤んだ瞳で彼を見つめ、そっと耳元に顔を近づけた。
「……ねぇ、心操くん。……また、どうしても熱が引かなくて……私がおかしくなりそうな時、……こうやって、助けてもらってもいいかな?」
「……っ!?」
心操の喉が引き攣るように鳴った。
一度踏み越えてしまった一線。
彼女のナカのあの恐ろしいほどの吸い付きを知ってしまった今、その願いを断り切れるほどの強さは今の彼にはなかった。
「……断れねぇだろ、そんな顔されたら。……あァ、分かったよ。お前が壊れちまうくらいなら……俺が、毒を食らってやる」
「……ふふ。……優しいね。……クラスのみんなには内緒だよ?」
「……言えるわけねぇだろ、こんなこと」
心操は自嘲気味に笑い彼女の頭を少し乱暴に撫でた。
その時、昼休みの終わりを告げる予鈴が、静まり返った空き教室に冷たく響いた。