第10章 欲しがる者と与えるモノ
「……なんや、ちゃん、それほんまか! 意外と食いしん坊さんやなぁ」
「ふふ、そうですよ。今度、ファットさんおすすめのお店に連れて行ってくださいね」
いつものふくふくとした姿に戻ったファットは、持ち前の明るさでを笑わせていた。
一週間、暗い地下で治崎の冷徹な言葉に晒され続けていた彼女にとって、彼の屈託のない笑顔と柔らかな関西弁は、何よりの救いになっているようだった。
「……落ち着いたようだな」
相澤の声に、二人が顔を向ける。
「あ、イレイザー………堪忍な、お騒がせして」
「先生……おかえりなさい」
相澤は椅子を引き、の正面に座った。
その表情は、教師としての厳格さと、教え子を案じる年長者としての慈しみが混ざり合っていた。
「。……お前の身体に起きている変化について、改めて話をしておく必要がある。……これまでの三度にわたる監禁と、今回の治崎による『分解と修復』を伴う調教。……お前の肉体には、通常の医療では即座に拭いきれない『回路』が形成されている」
相澤は言葉を選びながら、残酷な現実を淡々と、けれど誠実に告げた。
「……脳が快楽を覚え、身体がそれを維持しようとする。……お前がどれだけ強く拒もうとしても、周期的に訪れる『疼き』や、ミルクが止まらなくなる現象は、自力で抑えるのが困難な段階にある」
「…………はい」
は膝の上で手をぎゅっと握りしめ、視線を落とした。
深夜、ファットに縋り付いてしまった自分。
恥ずかしくて、消えてしまいたいのに、ナカの奥にはまだ彼の熱を求めている自分がいる。
「そこで、お前に確認したい。……今後、学園に戻った後、再びその『疼き』が襲ってきた時、お前はどうしたい?」
「……えっ」
「無理に抑え込んで、一人で壊れるのを待つ必要はない。……爆豪や緑谷、そして、もしお前が望むならここにいるファットガムも……お前の治療に協力する用意があると、俺は判断している。……お前の意思を聞かせてくれ」