第10章 欲しがる者と与えるモノ
の瞳から、大粒の涙が溢れ出した。緑谷は彼女の手を強く握り、声を震わせながら答えた。
「汚くない。……汚くないよ、ちゃん。……悪いのは全部、あいつらだ。君は何も悪くない。……僕にとっては、ずっと……かっこよくて、綺麗な、幼馴染のちゃんのままだよ」
「……う、……ぅあぁ……っ!!」
緑谷の言葉が、彼女が心の奥底で必死に耐えていたダムを崩した。
彼女は緑谷の手を握り返し、子供のように声を上げて泣きじゃくった。
彼は彼女の心の傷がどれほど深いか、そしてトガが言っていた「中までぐちゃぐちゃ」という言葉の裏にある凄惨な現実を思い、奥歯を血が滲むほど噛み締めた。
(許せない……。こんなに優しい女の子を、こんな風に壊そうとしたあいつらを……僕は一生、許さない……!!)
「……大丈夫。僕が、かっちゃんも、轟くんも、みんながいる。……ゆっくり、戻していこう。……僕がずっと、隣にいるから」
涙に濡れた彼女の顔を、緑谷は祈るような眼差しで見つめ続けていた。
緑谷との面会で張り詰めていた糸が少しだけ緩んだのか、は深い眠りに落ちていた。
その間に、比較的軽症だった生徒たちはリカバリーガールの治癒を受け、相澤に促されて学校へと戻っていった。
彼らもまた、彼女をこのまま残していくことに後ろ髪を引かれる思いだったが、今はプロの領域に任せるしかなかった。
目覚めた彼女を待っていたのは、女性警官による事情聴取だった。
「……辛いと思うけれど、少しずつでいいから、話してくれるかな」
優しく促され、は震える唇で、一週間の地獄を簡潔に語った。
毎朝の蹂躙、機械による搾取、部下たちの下劣な視線、そして清めと称された暴力。
淡々と、けれど時折言葉を詰まらせながら話す彼女の証言は、聞いている警官の目にも涙を浮かばせるほど凄惨なものだった。