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その極上ミルクは誰のもの? 【ヒロアカ R18】

第10章 欲しがる者と与えるモノ


搬送された病院内は、戦場のような慌ただしさと、勝利の代償としての重苦しい沈黙に包まれていた。
負傷したヒーローたちが次々と処置室へ運ばれる中、もまた、他の被害者とは隔離された特別室へと運び込まれた。

一週間に及ぶ監禁と、常人なら精神が崩壊しかねない過酷な蹂躙。
その「事実」を知る医療班の顔は険しかった。

一方、緑谷たちは応急処置を済ませると、ナイトアイの病室へと向かった。
そこで待ち受けていたのは、あまりにも静かな、そして残酷な「別れ」だった。


「……先生、……っ」


ナイトアイを見送った緑谷は、廊下の椅子に崩れ落ちた。
師を失った喪失感。
だが、その悲しみと同時に、彼の胸を焦がしていたのは、もう一人の大切な人のことだった。


の病室は、事件の凄惨さと彼女のプライバシーを考慮し、面会謝絶となっていた。
だが、第一発見者であり幼馴染でもある緑谷だけは、相澤の計らいで短時間の面会を許された。

「……ちゃん?」


緑谷が静かにドアを開けると、そこには清潔な病院着に着替えさせられ、真っ白なベッドに横たわる彼女の姿があった。
首の痣は治療され、あの忌まわしい首輪も外されている。
けれど、その手首や足首にうっすらと残る縛られた痕跡が、緑谷の視界を歪ませた。


「……いず、く……くん?」

「うん。……僕だよ。……助けるの、遅くなって、ごめんね……本当にかっこ悪いよね……ごめん」


緑谷がベッドの脇に座ると、は震える手をゆっくりと伸ばした。
緑谷はその手を、壊れ物を扱うように両手で優しく包み込む。


「……夢じゃ、ないよね。……あの部屋に、もう戻らなくていいんだよね?」

「……ああ。あのアジトはもうない。治崎も、君を傷つけた奴らも……全員、捕まった。もう誰も、君に酷いことはできないよ」

「……でも、……ナカが、まだ……熱い気がするの……。叩かれたところが、ずっと痛くて……。私、あんなに……汚いもの、いっぱい……っ」



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