第9章 囚われのお姫様
「あ、っ……待って、……っ! どこへ行くの……っ!」
「黙ってついて来い。若頭が貴様を必要としている。ヒーローどもに奪われる前に、安全な場所へ移す」
玄野の冷徹な声が響く。
の足は、連日の過酷な搾乳と蹂躙で鉛のように重い。昨夜、治崎に執拗に奥を叩かれた下腹部が鈍く痛みに彼女は恥辱と絶望で涙を零した。
(助けて……誰か、助けて……っ)
その時だった。
背後の壁が、凄まじい衝撃と共に粉砕された。
「――その手を離せッ!!!」
硝煙を切り裂いて飛び出してきたのは、全身から緑の火花を放つ緑谷出久だった。
その後ろには、サー・ナイトアイと数人のヒーローたちが続く。
「……出久くん……っ!」
「ちゃん!!」
緑谷の瞳に、激しい怒りと安堵が混ざり合う。
だが、目の前の光景に彼は息を呑んだ。
一週間ぶりに見る彼女は、生気を失い、首には悍ましい鉄の「首輪」が嵌められている。
さらには、隠しきれない肌の赤みや、ひどく怯えたその様子が、この場所で彼女が受けてきた「扱い」を雄弁に物語っていた。
「……死穢八斎會。……貴様ら、彼女に、何を……ッ!!」
緑谷の殺気が膨れ上がる。
そこへ、壁の影からトガヒミコが踊り出るように姿を現した。
「やっと追いつきましたね、出久くん!でも可哀想に、彼女……中までぐちゃぐちゃにされちゃいましたよ?もう出久くんの知ってる女の子じゃないかも!」
「トガヒミコ……っ、貴様……っ!!」
「私たちはもう満足したので、あとは勝手にどうぞ!」
トガは歪んだ笑みを残すと、トゥワイスと共に闇の中へと消えていった。
「……出久、くん……ごめん、なさい…っ。わたし、もう……っ」
は崩れ落ちるように膝をつく。
緑谷は一瞬で距離を詰め、玄野を牽制し、彼女の震える肩を抱き寄せた。
「……ごめん、こんなに怖い思いをさせて……っ!」
緑谷の温もりが、一週間、機械と男たちの悪意に晒され続けたの心を微かに溶かす。
だが、緑谷は彼女を抱き上げたまま、その瞳に決意の炎を灯した。
「ちゃん、一度外へ……地上へ避難してて。まだ、エリちゃんを助けなきゃいけないんだ」
「出久くん……待って、行かないで……っ!」
「大丈夫。絶対、すぐに戻るから!!」