第9章 囚われのお姫様
やがて、数本のタンクが白濁した液体で満たされた頃、ようやく「作業」の終了を告げる音が響いた。
「よし、今日のノルマは終了だ。……おい、若頭がお戻りになる前に綺麗にしろ」
乱暴に搾乳機が剥がされ、ナカで暴れ回っていた無機質な突起が引き抜かれる。
「おい、見ろよ……。機械を抜いたのに、まだお前の未練が糸を引いてやがるぜ」
引き抜かれたマシンとの秘部の間に、白濁した蜜が幾筋もの銀糸となって橋を架けていた。
「あ、っ……、はぁ、はぁ……っ」
解放された衝撃で、の身体は力なく診察台の上で跳ねた。
部下たちは治崎の命令通り、彼女の身体を再び手早く、けれど事務的な冷たさで洗浄した。
汚れを拭い去られ、用意されていた清潔な服を着せられる。
その手つきには一切の慈愛はなく、ただ「商品」をメンテナンスするような無機質さだけがあった。
「立て。移動だ」
足に力が入らないを両脇から抱え、部下たちは彼女を別の部屋へと連行した。
そこは、先ほどの拷問室とは打って変わって、清潔なベッドと食事が用意された、静かな個室だった。
「……食っておけ。明日もまた『仕事』があるからな。倒れられたら若頭に殺される」
バタン、と重厚な扉が閉まり、鍵がかけられる。
「……っ、……ぅ……」
は震える手で、置かれた食事に触れることさえできず、シーツに顔を埋めた。
食事と睡眠は確保されている。
だがそれは、彼女を人間として扱っているからではない。
効率よく「ミルク」を生産するための、ただの家畜としての管理に過ぎないのだ。
(勝己くん……、たすけて……、……こわいよ……っ)
胃の奥がせり上がるような不快感と、全身に残る機械の残像。
明日もまた、あの地獄が繰り返される。
その絶望に押し潰されながら、は深い闇の中へと意識を沈めていった。