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その極上ミルクは誰のもの? 【ヒロアカ R18】

第9章 囚われのお姫様


寮に入ると1-Aの面々が数名、リビングに集まっていた。

「お、お帰り。って、どうしたんだその顔。真っ青じゃねぇか」

真っ先に気づいたのは、切島だった。
友人に支えられて帰宅した彼女の異変に、リビングの空気が一変する。

「……あ、切島くん……。……少し、気分が悪くて……」

「おい、大丈夫かよ! 誰か、先生呼んで…」

「……あ……、いいの、寝れば治るから……。誰か、お部屋まで……連れていって……」

トガは伏せ目で、救いを求めるように周囲を見渡した。

「私が連れて行くわ。ちゃん、私に捕まって」

芦戸が心配そうに肩を貸し、トガをの部屋へと運んでいく。
エレベーターに乗り込む際、トガはこっそりと懐の中のスマホを操作し、GPSの発信を確認した。

(あはは、すごい……。このスマホ、ずっと監視されてる。愛されてるねぇ、ちゃん)

部屋に入り、ベッドに横たわると、芦戸は「何かあったらすぐ呼んでね」と言い残して去っていった。
一人きりになった密室で、トガはクスクスと笑い声を漏らす。

「体調不良」というもっともらしい盾は、最高の隠れ蓑だった。
周囲は「そっとしておいてあげよう」という心理に傾く。
トガはその心理を巧みに操り、薄暗い部屋の中で完璧に演じ続けていた。

コン、コン、と控えめなノックの音が響いた。

「ちゃん、僕だよ……。芦戸さんから聞いたんだ、大丈夫? 何か食べられそうなもの、持ってこようか?」

ドア越しに聞こえる緑谷の声には、隠しきれない焦燥と心配が混じっていた。
トガはベッドの上で口角を吊り上げながら、弱々しく、消え入りそうな声を作って返した。

「……出久くん、ありがとう。でも、今は……少し眠りたいの。ごめんね……」

「……そっか。わかった。ドアにスポーツ飲料とゼリーかけておくからね。無理しちゃダメだよ?」

「……うん、ごめんね……」

緑谷が去っていく気配を確認し、トガは鼻を鳴らす。

「あは、出久くん、本当いい子。でも、近くで見られたら目がキラキラしすぎててバレちゃうもんねぇ」



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