第8章 初めての寮生活
のリハビリはさらに進み、爆豪や緑谷が付き添っている時に限り、他の男子生徒とも言葉を交わすようになっていた。
「あ、上鳴くん、おはよう。昨日の演習、お疲れ様」
「お、ちゃん! おはよう! 昨日の俺の電撃、見ててくれた!? かっこよかったろー!」
上鳴が調子よく話しかけると、すぐ後ろで爆豪が低い唸り声を上げ、緑谷もまた「上鳴くん、距離が近いよ」と爽やかな笑顔のまま、静かに間に入って牽制する。
そんな光景が日常になりつつある中、クラスの男子たちは、ある一つの「奇妙な点」に気づき始めていた。
「なぁ……爆豪と緑谷がにベタベタなのは幼馴染だからってことで納得したけどさ」
切島が不思議そうに、昼食の席で首を傾げた。
「轟まで、あんなに自然にの隣に座ってるの、どういうことなんだ? 轟ってあんなに女子に距離近いタイプだっけか?」
確かに、轟は当たり前のような顔での隣に座り、彼女の食べきれないおかずを皿に取ってやったりしている。
「だよな! お前ら、いつの間にそんなに仲良くなったんだよ? 轟、まさかお前も……」
男子たちの視線が一斉に三人、そしてへと集まる。
は顔を真っ赤に染め、箸を震わせながら必死に誤魔化した。
「え、あ、……それは……っ。轟くんとは、その、……勉強を教えてもらったり、……お茶を、飲んだりしたことがあって……!」
「……仲が良いのは、悪いことじゃないだろ」
轟が淡々と、けれど有無を言わせぬトーンで言葉を添える。
隣では爆豪が「……ケッ、飯食う時くらい静かにしやがれ」と毒づき、緑谷が「みんな仲良しなんだよ、ね、ちゃん?」と、どこか深い意味を含んだ笑顔で彼女を見つめた。
夏休みという長い「密室」の時間は、の身体を三人のヒーローの色に深く塗り込めていた。
身体の疼きこそ落ち着きを見せてはいたものの、彼女の甘さを知った爆豪、緑谷、轟の独占欲は収まるどころか、もはや彼女を自分たちの支配下から一歩も出したくないという執着へと変貌していた。
それでも、彼女の社会復帰を願う三人の苦渋の決断により、新学期からは、予定通り普通科C組へと編入することになった。