第4章 密やかなる蛇の愛 ― 伊黒と繋ぐ、唯一の光【番外編】
それから月日が流れ、伊黒さんとの間には、彼によく似たオッドアイを持つ、賢くて愛らしい女の子が誕生しました。
「父さま、あそぼ?」
伊黒さんにそっくりな黒髪をなびかせ、鏑丸と仲良く遊ぶ娘・小夜(さよ)。
伊黒さんは、外出から戻るなり、そんな娘を抱き上げ、目尻を下げて頬を寄せている。
「ああ。今日も小夜は賢いな。……見てくれ、。この子は俺の不出来なところを一つも継がず、お前の美しさだけを受け継いでくれた。奇跡だ……」
伊黒さんは、娘を片腕で抱きながら、空いた方の手で私の腰を強く引き寄せた。
「ありがとう、。俺のような男に、こんなにも眩しい光を与えてくれて。……愛している。来世など待たずとも、今、俺は最高に幸せだ」
伊黒さんの執念深い愛は、今や家族を守り抜く「最強の守護」へと変わり、屋敷に静かで深い幸福を刻み続けているのでした。
屋敷の庭で、小夜ちゃんがよちよちと歩いていると、そこに「教育」と称して実弥さんと宇髄さんが現れました。
「おうおう、小夜! おじさんが高い高いしてやんよォ! ほら、風を感じろ!」
「派手な玩具を持ってきたぜ! こっちの方が楽しいぞ、お嬢ちゃん!」
実弥さんの大きな手が小夜ちゃんに触れようとした瞬間、シュルリと首元の鏑丸が威嚇し、どこからともなく伊黒さんが音もなく降臨した。
「……触るな。その薄汚れた手で、私の娘に触れていいと誰が許可した」
伊黒さんの瞳には、鬼を殺す時以上の殺気が宿っている。
「宇髄、貴様の派手すぎる玩具は小夜の繊細な視力を損なう。実弥、貴様の荒っぽい高い高いは脳に響く。
……消えろ。さもなくば、鏑丸がお前の鼻を噛み切るぞ」
「けっ、相変わらず心の狭い野郎だぜ!」
と悪態をつきながらも、伊黒さんのガチすぎる殺気にたじろぐ二人。
伊黒さんは娘を抱き上げると、急に猫なで声で
「小夜、怖かったね……あのような野蛮な者たちを見てはいけないよ。さあ、一緒に本を読もうか」
と囁いた。
そのあまりの落差(デレ)っぷりに、周囲は呆れるやら微笑ましいやら。
伊黒さんの「愛の蛇囲網」は、今日も鉄壁です。
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