第3章 烈風の純情 ― 実弥と繋ぐ命の灯火【番外編】
それから月日が流れ、
実弥さんとの間に第一子が誕生した。
「男の子を産んで、不死川の名を継がせてあげたかった」
と少し申し訳なく思っていた私に、産屋敷の部屋で赤ん坊を抱いた実弥さんは、見たこともないほど柔らかな顔をしていました。
そこにいたのは、男の子ではありませんでした。 銀色の髪を逆立て、少し釣り目がちで、気が強そうな産声を上げる……
実弥さんにそっくりな「女の子」でした。
「実弥さん……ごめんなさい、女の子だったわ……」
私が弱々しく笑うと、実弥さんは静かに首を振る。
彼は大きな掌で、壊れ物を触るように娘の小さな頬をなぞり、それから私を力強く引き寄せ、額に口づけをした。
「……何を言ってやがる。見てみろよ、この気の強そうな顔。間違いなく俺の娘だ。……最高じゃねェか」
実弥さんの目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
「男か女かなんて関係ねェ。お前が命懸けで産んでくれたんだ。……俺に、こんなに愛おしい『家族』をまた持たせてくれて、ありがとう。……本当によく頑張ったな。愛してるぞ」
「おい! そっちは危ねェっつってんだろ、実花(みか)!」
庭では、歩き始めたばかりの「ミニ実弥」のような娘が、実弥さんの注意を無視して元気に駆け回っている。
「けっ、誰に似たんだか……あァ、俺か」
実弥さんは苦笑いしながら娘を抱き上げ、高い高いをしてあやしている。
娘が「パパ!」と笑うたびに、あの恐ろしい風柱がデレデレになり、「おう、可愛いなァお前は!」と鼻の下を伸ばしている姿は、屋敷の新しい名物となった。
「男の子じゃなくても、俺ァ今、世界一幸せだ」
そう言って私を抱き寄せる実弥さんの隣で、私は彼と新しい家族を守り抜く幸せを、噛み締めるのでした。
*