第2章 2
ジムリーダーとしての責務だけではなくスポンサーとの打ち合わせやら、やるべき事は多い。幸いキバナはそういった方面も得意であり万能にこなす。ローズ会長が退任した今、メディア露出の機会は随分と減りトレーニングやジムの運営に時間を費やせるようになった。ジムトレーナーとの育成試合も十分に取れるようになり、どちらかというといいことの方が増えたような気がしていた。
育成試合の後、全員で試合運び、ワザ構成について意見を出し合う。こんなに試合で時間が取れることは滅多にないせいか全員白熱していた。
だがジムの受付がキバナの元へ駆け寄る。スポンサーの連絡かと思い、つい水を差された気持ちになった。
「どうした?スポンサーへの回答データ、なにかミスってたか?」
「いえ、実はキバナさまにお会いしたいとチャレンジャーがいらしてます」
「チャレンジャー?誰だ?」
「たしか……リネア、さん?サーナイトに紫色のスカーフを持たせて……って」
キバナは走ってロビーへ向かう。すると膝にゴルバットを乗せて佇むリネアが見えた。キバナの足音を聞いたのか音のする方向へ顔を向ける。
「リネア、何かあったか?」
「あ、キバナさん。いえ……困りごとではないんです」
年相応にもじもじして、それでも顔を上げた。
「アドバイザー……私、チャレンジしてみようと思って」
「本当か!?やったぜ!ありがとうな!」
手を握って上下に振る。が、キバナはすぐ離した。頭に叩き込んでいるはずなのにリネアには視界が無いことをつい忘れてしまう。
「悪い、急にびっくりしたよな」
「いいえ、話している時に握手するのは大丈夫です。声もかけられないまま触られるとびっくりしてしまいますが」
今のは握手というより喜びが爆発してしまったが故の癖のようなもの。キバナは笑って誤魔化すが、より一層気をつけなければならないと肝に銘じる。
「もしかしてそれを伝えるためにわざわざ来てくれたのか?」
「は、はい。仮にも雇用主だから挨拶に行くべきだっておじいちゃんから教えてもらったんです」
「ありがとうな。嬉しいぜ。せっかくだし、今ナックルジムのみんなで試合してたところなんだ。もし時間あるなら一戦どうだ?」
「えっ!いいんですか!?」