第2章 2
リネアから手を差し伸べられた。いつも通りに握手をする。だがリネアは少しだけ微笑んだ。
「やっぱりキバナさんの手、すっごくおおきい。こんなに大きな手初めてです」
自分より小さな手と握手するのはいつものことだ。なんならリネアに言われるまでこの行動に何も思っていなかった。だが視覚以外の全てを常に研ぎ澄ませている相手にとって握手も重要な情報の一つだ。キバナは両手でリネアの手を包んだ。
「じゃあオレさまの手、ちゃんと覚えててくれよ」
すると指先がキバナの手を触る。指関節、手のひら、爪、タコ。
「ふふ、岩みたいにゴツゴツしてます。でもあったかい」
リネアの手はまるで綿のよう。なめらかな皮膚を少し指先でつまめば割れてしまいそうなほど柔らかい。手の温度が少しずつ同じになってゆく。
「ありがとうございます。キバナさんのこと、よく知れたと思います」
「そっか、それなら、よかった」
「それじゃあ、今日は失礼します」
「ああ、気をつけて帰れよ」
リネアには見えるはずもないのに手を振って見送る。そして手に残る温度がくすぐったくてすぐジムの中へ戻った。