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【pkmn夢】デイジー・ベル

第1章 1


 給与、休暇、福利厚生、とにかく持てる全てでリネアをアドバイザーとしてそばに置きたい。今までどこで何をしているかわからなかっただけで、他のジムリーダーもリネアの技術は喉から手が出るほど欲しいものに違いない。キバナは声音に出さないよう注意していたが、まさに獲物を狙うニューラのような表情をしていた。

「今すぐ決めるのも難しいよな。でもオレさまは本気だ。スマホロトムにオレさまの連絡先入れとくから返事だけでも教えてくれ」
「は、はい…」
「それから今日みたいに困ったことがあったらすぐ連絡しろよ。目が見えないとかそういうの関係なく、まずは人を頼ることを覚えても損はないぜ」

 耳まで真っ赤になっているリネアは珍しい。いつも冷静沈着で焦るということを知らない顔つきをしていたからこそだろう。
 そのまま通りを歩いているとリネアのサーナイトが軒先で待っていた。リネアが髪につけている紫のリボンは手持ちのポケモンたちにもつけられている。
 音もなく近寄るがテレパシーで迎えにきたことを伝えたのだろう。リネアはぱっと笑顔になった。

「キバナさん、ありがとうございました。サーナイトが来てくれたのでもう大丈夫です」
「ん、じゃあバトンタッチだな」
だがリネアはキバナの袖を離さない。むしろ強く握っている。
「あの……」
「なんだ?」

 まつ毛が艶めいている。いや、涙を必死に堪えている。驚いて言葉を失ったが悪い意味ではないようだ。

「ありがとうございます。私のバトルを褒めてくださって」
「……オレさまだけじゃなくて、他の奴らもリネアはすげぇって思ってるはずだぜ」
「はい…でも、初めて、褒めてくれたから」

 年下の笑顔にときめいたのは初めてかもしれない。情けない顔を見られないことだけが今は救いだ。

「じゃあな、リネア。風邪引くなよ」
「はい、おやすみなさい。キバナさん」

 ぽん、と丸っこい頭をひとつだけ撫でてその場を離れた。礼儀正しいサーナイトは主人を真似て同じように頭を少し下げていた。
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