第1章 1
心の底から、もったいないという気持ちを素直に口にすればリネアはおかしそうに笑った。
「ありがとうございます。でも……すこし、限界を感じているんです。一人では何もできない私だからこそ一人でなんでもできるよう努力してきました。けど、良くも悪くも無理でした。私はポケモンを四匹育てるだけで手一杯です」
軽々に口にできない。視界のないままバトルをすることの恐怖と苦痛。それでも邁進し続けたリネアの努力は計り知れない。ここで手助けをすればリネアのプライドを傷つけるだろう。
「……それで、いいのか?」
「わかりません。でも……キバナさんやジムリーダーの皆さんは分かっていると思うんですが、目が見えなくてもバトルはできるってことを……もっと証明したいと思っています」
リネアは驚嘆と尊敬に値する人物であると確信した。子どもだからとかそういったタグは関係ない。この偉業と努力はリネアにしかできないものだ。
そう感じると今までキバナが悩んでいたことに一本の道ができた気がした。今までのトレーニングでいいのか。どの戦術が適しているのか。そんな暗闇の中で、大きなヒントが目の前にいるではないか。
「リネア、今からオレの話を聞いてくれるか」
「へ?」
きょとんとした顔で見上げる。もちろん視線は合っていない。キバナはリネアの前にしゃがみ込みできるだけ視線を合わせた。
「正直、オレはダンデに勝てないままだった。けど新しいチャンピオンが誕生してオレが越えなきゃいけない相手がもう一人増えちまった」
「はい…」
「これからどうトレーニングを組み立てるか悩んでいたんだが、リネア、お前の技術を参考にさせてくれないか」
「え?わ、私?」
頬を赤くさせて口元を隠す。
「リネア、お前はすごい!お前ほど努力家なやつをオレは知らない!今だって根掘り葉掘り聞きてぇくらいだ!どうやってフィールド把握しているのか技をどう知覚してるのか……とにかく、少しの間でもいい、オレのアドバイザーになってくれ!」
「えええ!?」